四季の風景時計


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除夜の鐘 前編

見慣れた天井

カーテンの向こう側は、まだ薄暗い

一定の温度に保たれているはずの室内も

明け方は、冷え込みがキツい

ゆっくりと起き上がり、深呼吸する

この季節にしては、珍しく身体が軽い

・・・何だか良い事がありそう・・・

隙間から漏れ始めた光を見ながら

思わず、口元が緩んだ



ほうじ茶を啜りながら、伝票を捲っていると

カラリと扉が鳴り、来客を知らせる

「こんにちは」

良く通る、けれど穏やかな

初めて聞く声に、視線を上げた

歳は、私より5つ程上だろうか

通った鼻筋

形の良い薄めの唇は、柔らかく弧を描いている

ダークブラウンの髪は、ふんわりと後ろに流され

シルバーフレームの奥の瞳は、くっきりとした二重瞼

それが、優しげに笑みを湛えている

誰もが振り向く美形、という訳ではないけれど

私の好み、ど真ん中ストライクだ

特に、眼鏡が・・・



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除夜の鐘 中編

「お、悪(わり)ぃなぁ、寄ってもらっちまって」

奥の設計室から、社長が顔を出す

「とよちゃん、コーヒー2つな」

社長に促されるまで、私は

設計室に消えた彼の背中を、ぼーっと見送っていた



私が勤めているのは

社員5人の、小さな建築設計事務所だ

私と、社長の奥さん以外は建築士で

私は、受付兼事務員

雑用をこなしている

眼鏡が素敵な彼は、社長の大学時代の後輩で

ウチの取引先の建築士なんだそうだ

いつもは、社長が先方に伺っているのだけれど

今回は、現場がウチに近く

これからも

ちょくちょく彼が訪れる事になりそうだ、と

「イイ子よ~、彼」

同じく、大学時代から付き合いがあるのだ

という社長の奥さんが

ニッコリ笑って言った



→  『除夜の鐘』 後編

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除夜の鐘 後編

「雪が降りそうね~」

毎年恒例になっている、除夜の鐘撞き

社長と、社長の奥さんに連れられて

山門を潜(くぐ)った

「こんばんは」

もう、耳に馴染んだ声

驚いて、振り向けば

初めて見る、私服姿の彼

いつものスーツ姿も素敵だけれど

こっちも素敵・・・

「甘酒もらっといで~」

背中を押されて、二人きり

目線の高さにある、彼の肩が近い

逸(はぐ)れるといけないから、と手を握られて

「冷えるね」

彼のコートのポケットの中は暖かくて

こんな薄暗い境内でなければ

耳まで真っ赤なのを、からかわれていたかもしれない

「そろそろ、年が明けるかな」

時計を見れば、0時まで3分もない

今年も無事、年を越せそうだ

後何回、新年を迎えられるだろう・・・

「豊田(とよだ)さん」

呼ばれ、顔を上げると、真剣な眼差しの彼

「僕と、付き合って欲しい」

108回目の鐘が鳴る

「・・・今年からは、二人で、鐘を撞きに来ないか?」

彼の耳も、真っ赤になっていた



―END―

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